新ブログ
Blog 2008-2016
Blog 2016-2023
NighTONE(ナイトーン)

記事一覧

ハンマーがボキッ

先日調律のご依頼をいただいてお邪魔したお宅での出来事です。

お宅を新築されご実家からグランドピアノを移動された際に

運送屋さんがハンマーを折ってしまったそうです。

そしてそのハンマーを交換したのですが、それがひどい

状態でした。ピアノの調律のご依頼をいただいた際に修理した

最高音の音が出ないと聞いていましたので実際に見てみると

まずハンマーの根元のハンマーシャンクとバットの連結部分の

センターピンにガタがあり弦にほとんど当たっていない

状態でした。初めにこのセンターピン交換をした図です。

ファイル 336-1.jpg

一番の問題は他にあるのですが、先ずはバットとシャンクが

しっかりとした状態にしてみました。

通常ハンマーのシャンクを折ってしまった場合は、

ハンマーウッド部分は残してシャンクだけを交換するのが

普通です。そして新しいシャンクに元あったハンマーを

移植してそのまま使用します。

しかし、このハンマーは全然違うものが付けられて

しまっています。

ファイル 336-2.jpg

色も全然違いますね。

先ほど一番の問題があると書きましたが、それがこれです!

ファイル 336-3.jpg

シャンクの長さが足りていません。全然短いのです。

これだけ短いとハンマーと弦とが正常に当たっても

打弦点が違いますので、まともな音が出ません。

2mmくらいは足りないでしょうか。

たった2mmかもしれませんが、最高音の2mmの誤差

というのは致命的で音を出すのには無理があります。

まだシャンクが長ければハンマーを抜いて、正しい位置に

再接着をしたのち、シャンクを切ればいいのですが、

短いとどうしようもありません。シャンクを変えるしか

方法がありません。

シャンクの裏にあるローラーの位置も元からあるものと

違う位置にありますので、ジャックなどの調整も必要ですが

それももちろんされていません。

バットという部品も違うものに変えられていました。

ファイル 336-4.jpg

お客様も最高音はほとんど使わないからとりあえず音が

鳴ればいいというご希望でしたので、いろいろ試して

なんとか弱弱しい音ではありますが、出るようになり、

調律もしてきました。

たまに、運送屋さんがハンマーシャンクを折ってしまうことが

あるのですが、それにしてもこの運送屋さんは不誠実な

対応をしてしまったようですね。その作業のあと、お客様が

最高音が鳴らないことを伝えると「調律をすれば鳴るように

なりますよ」と言われそんなものかと、そのままにして

しまったそうです。この運送屋さんはどこかからカワイの

グランドピアノの最高音のアッセンブリーを買ってきて、

とりあえずくっつけておいたということです。

お客様は2年前に引越しをされお子様もお生まれになり、

とてもピアノに構っていられない状態だったそうです。

さすがに2年前の作業に今からクレームをつける訳にもいかない

ので、もし直すとなるとお客様自身が費用をご負担しなければ

いけなくなってしまいます。


 以前、うちのお客様で興味本位で自分でアクションを

引き出そうとしてシャンクを折ってしまい、セロテープを

巻いてとりあえずくっつけていた方もいらっしゃいました。

皆さんもくれぐれも気を付けてくださいね。

.
.
.

ポチッと応援お願いします。

にほんブログ村 クラシックブログ ピアノへ
にほんブログ村

トラックバック

この記事のトラックバックURL
https://www.voitech.co.jp/blog/diary-tb.cgi/336

トラックバック一覧